なにかを辞めたい。
けど辞められない。
ダイエットで言えば、食べることを辞めたいのに、どうしても食べてしまう。
食べる快楽に負けてしまい、あとで自己嫌悪に陥る。
多くの人が経験したことあるのではないでしょうか。
変わりたいのに変わらない。
変わらない、という現状維持にエネルギーを使ってしまう。
人間を機能でみた場合、現状を維持しようとしてしまうのは当然のことなのです。
僕たちが暑かったら汗をかき、寒ければ身体が震える、など通常の状態に戻そうとする反応は人間の基本的な機能。
通常の状態に戻そうとエネルギーを使ってしまうのですね。
変化に適応してしまった方が楽な場合であっても、通常に戻そうとする機能は働きます。
それは行動にもあらわれます。
習慣という名の行動です。
さて、泥棒がどうしてもやめられないオンナとして、1960年代から80年代にかけ全米を騒がせたドリス・ペインという人がいます。
彼女は泥棒をやめることができない。
何度もやめる機会がありながら、やめられないまま泥棒を繰り返し捕まってしまい、刑務所行きとなる人生を送ってきました。
ドリス・ペインに関する特集が「世界まる見え」という番組で組まれます。
泥棒の手口や、なぜ繰り返してしまうのか、彼女なりの見解と心理的な見方を含めてみていこうと思います。
それと盗んだ宝石の総額も気になるところですね。
ドリス・ペインの経歴・プロフィール
名前:ドリス・ペイン(Doris Payne)
生年月日:1930年10月10日
年齢:87歳
出身地:アメリカ ウェストバージニア州
彼女は世界中で泥棒をはたらいてきました。
ニューヨーク、ロンドン、日本、パリ、モナコなど。
世界11か国で泥棒を繰り返してきた。
ルパン3世にちなんで藤峰子と言われていたことも。
ドリス・ペインが盗む商品は、高額な宝石がほとんどだとか。
世界中で彼女に被害に遭った宝石店は、判明しているだけでも400件以上にも及ぶ。
これだけ繰り返したら顔バレして警戒されるのは目に見えてますね。
世界中で泥棒をしていた、というのは繰り返している回数がハンパなさ過ぎるため、せざるを得なかったというのが正直なところなのではないでしょうか。
泥棒のために世界をまわる。
職業が違えば、グローバルエリートですね。(泥棒を職業というのは、はばかれますが回数の圧倒的さに職人レベルのスキルを感じてしまいます。)
泥棒の回数がハンパないことに比例して逮捕回数もハンパないことになっています。
その回数、50回以上。
そして、判決を受けて懲役となった年数は合計20年以上となるようです。
最初の犯罪記録は1952年となっているので、キャリアは60年以上となりますね。
ドリス・ペインが世界で一躍有名になった事件があります。
1970年代に起こした事件。
ある高級宝石店にて、50万ドル相当になる10カラットのダイヤモンドリングを盗んだ事件。
それをきっかけにメディアを騒がせ、時の人となったようです。
その手口が聞いてしまうと何てことはないのですが、あまりにさり気なさすぎて、やろうと思う気にすらならない方法。
ドリス・ペインの泥棒の手口は?
彼女の泥棒はさり気なさすぎる。
しかし、用意は周到にされている。
自分の印象操作から計算にいれて犯行に及んでいます。
盗みの手法そのものは、さり気ない。
その手口が聞いてしまうと何てことはないのですが、あまりにさり気なさすぎて、やろうと思う気にすらならない方法。さり気なさすぎるのですが、そこに至るまでの準備が周到だから成功することが多かったようです。
段取り八分。
まさに、この言葉を地で行くような人だった。
FBIの捜査資料を基にすると、ドリス・ペインは泥棒に及ぶ際には必ず高級にみえる服装をしていた。
手にはクロコダイルのハンドバックを持ち、高級ブランドの服に身を包み、化粧をセレブの真似をした仕方をして演出することで、高級店を日常的に利用している客を装って入店する。
会話でもセレブとして演出する。
ある国の大臣の婚約者、有名アスリートの妻、起業して成功した人間、セレブな友人がたくさんいる成功者。
そのために、彼女が使った偽名は数十にも及びます。
生年月日も使い分けていた。
そうすることで、泥棒をする姑息なことをする人間には見えない印象を作ったのです。
実際、ドリス・ペインを見た店員は「とても盗みをはたらくような女性だとは思わなかった。」と言っています。
そして、宝石店に入店した彼女は、店員に具体的な金額を伝えて、買う気があるように演出する。
「予算500万くらいで何か良いモノある?」
「ネックレスとブレスレットで予算は1500万くらいにしたいわ。」
そうすることで、複数の商品を並べても検討していると思わせて、店員に疑問を抱かせないようにしている。
そして、商品をカウンターに次々と並べさせる。
悩むフリをして次々と身につけては外していく。
いろいろ宝石を手に取り物色するなかで、気にいったものが見つかったときは盗みの段取りに入っていきます。
どうするのか。
一旦、店員の目線をそらせます。
「この指輪素敵!薬指にもつけてみたいから、違うサイズあるかしら?」
なんてことを言って、店員の視線と注意を逸らした瞬間に狙った宝石を盗む。
店員が視線を戻しても、大量に並んだ宝石のひとつが盗まれていても、すぐには気付かない。
なぜなら、セレブというイメージと買ってくれることを前提にしている、という先入観が店員の警戒心を削いでいるからです。
そして、ある程度会話を続けて、気を計らって店を出ていく。
「ちょっと考えてからまた来るわね」と。
宝石を盗みながらも悠々と。
そんな手口を繰り返し続けているようです。
ドリス・ペインは捕まっても懲りることはありません。
それを象徴するように、こんなことを言っています。
「宝石泥棒のライフスタイルの道が好きなだけ。罪の意識なんて考えたこともなかったわ」
ドリス・ペインが泥棒を、やり続ける理由は?
彼女はなぜ泥棒を繰り返し続けるのでしょう。
捕まり懲りることもあったはず。
何度捕まっても彼女は泥棒を辞めることはなかった。
初の犯行から60年。
過去をみてみることで少しみえてくるのものがあるかもしれません。
ドリス・ペインは1930年10月にアメリカ、ウエストヴァージニア州の炭鉱町にある、貧しい家庭に生まれた。
父親は炭鉱で働き、母親は裁縫師。
兄弟は6人いた。
家庭が貧しいだけでなく、父親の母親への暴力がひどかった。
母親と父親から離れなければならない、そう思ってもお金がない。
お金を稼ぐためにドリス・ペインが選択したのが泥棒だった。
それが泥棒をすることになった、きっかけのようです。
彼女の泥棒に対する罪への意識の無さを考えると、自己正当化による快楽の見出しに感じます。
盗みが、せざるを得ない行為から意味を作り出し、ドリス・ペインなりの快楽の定義づけをしてしまった。
または、報酬物質の閾値を超えてしまったことによる変性などもあるかもしれません。
ドーパミンは快楽物質ですが、一般に思われているような報酬物質ではないのです。
期待物質であり、事を成し遂げた後には出ないものです。
泥棒を繰り返すことで、この回路に変性が起きてしまっている可能性も考えられます。
憶測を抜けませんが、泥棒をライフスタイルとまで感じてしまうのは、精神バランスに異常をきたしているのは間違いないですね。
ドリス・ペインが盗んだ宝石の総額は?
気になるところだと思います。
キャリア60年ですし。
ドリス・ペインがこれまでに泥棒した宝石の総額は、おそよ200万ドルだと言われています。
日本円にして、およそ2億2000万円。
地道にサラリーマンしてた方が良いぐらいの金額ですね。
けど、ドリス・ペインにとってはライフスタイルみたいなものとして泥棒を捉えているので、今風にいう「好きなことを仕事にする」ことを地で行っている。
ある意味で自分に正直な人。
それが正しいかどうかは別として。
2017年にも泥棒を失敗して逮捕されています。
ドリス・ペインの泥棒は生涯続くのでしょう。
目次に戻るまとめ
ドリス・ペインがどんな人生を送って、泥棒をするようになったのか。
泥棒の手口。
捕まることの恐怖というより、楽しむための用意周到さを感じました。
そして、なぜ彼女は泥棒をやり続けるのか。
犯罪をライフスタイルと感じてしまうのは、どこか感覚かズレてしまっているのを否めません。
そして、泥棒をしてきたキャリアで得た資産。
長いキャリアにしては、多くないのかもしれません。(宝石店にとっては、たまったもんじゃないですけど。)
人によっては多いと感じるかもしれませんね。
ドリス・ペインの泥棒を普通の仕事としてみたときに、用意周到なところは見習ってもいいのかもしれません。
情報をどの視点でみるか。
そのまま受け取るか、広い視点で捉え直してみるか。
いろんな見方をしたら、テレビに対して違う捉え方をできるかもしれませんね。